クラフトビールの可能性と魅力
埼玉県の東松山市に醸造所を構えるコエドブルワリー。
趣向を凝らした埼玉発のクラフトビールは日本国内に留まらず、世界でも高く評価されています。
今回はコエドブルワリーCEO・朝霧重治さんに
クラフトビールが持つ可能性とその魅力について伺いました。
株式会社協同商事
コエドブルワリーCEO 朝霧重治さん
埼玉県川越市生まれ。大学卒業後、三菱重工業株式会社に就職。その後、株式会社協同商事に入社。2003年に副社長就任。ビール事業を再構築し、国内だけでなく海外コンペティションでの受賞、25か国への輸出を展開。武蔵野の農業の魅力と共にビールの楽しみを発信している。
クラフトビールづくりのきっかけ
弊社は、農家と協同して、消費者に有機農産物を届ける商社の事業から始まりました。昔から本社のある川越周辺では、畑に麦を植えて漉き込む「緑肥」という農法を取り入れています。このことから麦を活かして何かできないかと考え、ビール作りを思いつきました。クラフトビールづくりのアイデアのスタートは、事業の原点となる「農業」です。
しかし、麦がとれても日本には独立したビールの原材料となる麦芽の作り手がおらず、当時は川越の麦での麦芽作りは諦めざるを得ませんでした。しかし、もう1つ川越には有名な特産物がありました。サツマイモです。川越のサツマイモのうち、規格外で破棄されるものに目をつけ、ビール作りにチャレンジすることにしたのです。
クラフトビール、
コエドビールの魅力とは
コエドビールの魅力とは
ビールはアルコールの中でも多様性があります。ワインをカテゴリー分けすると、赤、白、スパークリング、ロゼに分けられますが、ビールにはこのカテゴリーが100種類ほどあります。このようにビールはアルコールの中でも豊かな個性を備えているのです。そのビールの中でも、クラフトビールは作り手の顔が見え、情熱のある職人が理念を持ってビールを作り上げる魅力がプラスされます。
弊社は農業が出発点で「ビールも農産物である」という考え方を持っています。最初に生まれたサツマイモのビール「紅赤」は、その考えを汲み、創造性を発揮できたものでした。日本のモノづくりには、素材の良さを引き出しバランスのとれたものを作る職人のDNAが埋め込まれていますが、私たちのブルワリーの醸造哲学もそれに通じるものがあると思っています。
ビールが媒体となって、
地元の食材から地域をアピール
地元の食材から地域をアピール
私たちは常に生産者と向き合い、農産物に関心を持っています。「いいな」と思ったものはビールに使い、ビールを媒体にして産地をアピールしていきたいと考えています。
弊社は世界に向けての発信もしていますが、日本国内という目線で見た場合、埼玉県は活動の基盤です。埼玉県には寄居町のみかんや東松山市の栗、越生町の柚子といった特産物があり、これまでこれらを使ってビールを作ってきました。ビールの持つ豊かな特性を生かし、この先も楽しみながら新たな味を生み出していけると思っています。
新しいことを地域に還元しながら
2022年の11月に初めて、「麦ノ秋(むぎのとき)音楽祭」というイベントを開きました。これは東松山市の6万平米ある醸造所の敷地で開催し、県内外から多くの人に足を運んでいただきました。自然に囲まれた東松山市は暮らしやすい場所ですが、都会のような娯楽が少ない場所です。そこで私たちが主催者となって、音楽ファンだけでなく地域の人たちにも楽しんでもらうイベントを提供できたらおもしろいと思ったのです。
この音楽祭の麦ノ秋は「麦秋(ばくしゅう)」という言葉からきています。季語としては5月の言葉ですが、これからは毎年11月の麦の種まきの季節と、5月の収穫の季節にイベントを開催し、麦作りなどを一緒に体験してもらえたらと考えています。私たちの出発点である農業。中でもイベントを通して、有機農業を身近に感じてもらえたらうれしいですね。
できたてのコエドの味が楽しめる店
COEDO BREWERY THE RESTRANT
川越駅西口のU_PLACEの1階にある醸造所を併設したレストラン。作りたてのビールが楽しめる。中華料理をベースにしたメニューには地元の野菜も使用。
埼玉県には、まだまだ魅力的な
クラフトビールや飲料があります!
クラフトビールや飲料があります!
CARVAAN BREWERY
アラビアンライム・エール
エジプト産ライムピールのフレッシュな香りとカルダモンの高貴な香り、モザイクホップのフルーティな香りが絶妙に合わさった、エキゾチックで洗練されたゴールデンエール。