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「栗より(九里四里)うまい十三里」と、
江戸から川越までの距離をもじって
その味の良さが謳われてきた川越いも。
美味しい上に、栄養豊富な高機能食材でもあります。
そんな川越いもについて、研究者である
ベーリ・ドゥエル先生にお話を伺いました。

いもの産地として知られていた川越が、江戸から十三里(約52km)のところ
にあるため「十三里」と呼ばれるようになった、という説がある。

ベーリ・ドゥエル(Barry Duell)先生

川越いも友の会会長 
さつまいも文化研究家
コエド芋パーク実行委員会 会長
ベーリ・ドゥエル(Barry Duell)先生

1949年生まれ。アメリカ・オレゴン州出身。1974年より川越市在住。1981年から本格的に川越いもの研究を始める。歴史調査、文化研究、観光資源開発など複合的な視点から川越いもの魅力を掘り下げ、川越地域の魅力発信に寄与。現在は東京国際大学名誉教授のほか、サツマイモまんが資料館館長、小江戸川越観光親善大使などを兼任。

人々の努力で作られた豊かな土壌

人々の努力で作られた豊かな土壌

 2023年7月、埼玉県の武蔵野台地に位置する川越市・所沢市・ふじみ野市・三芳町の「落ち葉堆肥農法」が日本で15地域目の「世界農業遺産」に認定されました。
 武蔵野台地の⼟壌(武蔵野ローム層)に栄養が少なく、⽔分も保ちにくいという厳しい条件を克服するため、平地に植樹を⾏い、林を育て、落ち葉をすき込んで農業⽤地へ作り替えてきたのが「落ち葉堆肥農法」です。
 人々の知恵と努⼒により培われた伝統農法は、⼈⼝が急増した江⼾の⾷糧不⾜を補うため、川越藩が武蔵野台地の開拓を進めたことから始まり、現在まで300年以上受け継がれてきました。
 今回はこの武蔵野台地で受け継がれてきた「川越いも」と、川越いもに魅せられた一人のアメリカ人研究者のお話です。
世界農業遺産は、国連⾷糧農業機関(FAO)が認定する、長年継承されてきた独自性のある伝統的な農林水産業と、それに密接に関わって育まれた文化や農業生物多様性などが相互に関連して一体となった伝統的農林水産業を営む地域のこと。

川越いもと川越の街との出会い

サツマイモまんが資料館
ベーリ‧ドゥエル先⽣

 以前は川越市内にあるサツマイモ料理店「いも膳」の敷地内にあった「サツマイモ資料館」は、2019年に和菓子屋「紋蔵庵」蔵の街店の2階にて「サツマイモ漫画資料館」として生まれ変わりました。観光客で賑わう川越の情緒ある町並みを⾒下ろせる館内には、愛嬌たっぷりの山田英次館長作成のイラストやまんがで解説された資料が所狭しと並んでいます。
 同館の共同ボランティア館⻑を務めるベーリ‧ドゥエル先⽣は、武蔵野台地の成り⽴ちをふまえつつ、川越いもについて解説してくれました。
「⼈⼯的に作り込まれた武蔵野台地の肥沃な畑地で⽣産されるサツマイモが『川越いも』。1751年に試作を成功し、1830年ごろ(天保年間)の『諸国名物番付』にサツマイモの代表産地として川越地⽅の記載があるのは公認された証明にもなります。江⼾で焼き芋が⼤ブームになってから今でも食べられている川越いもは、200年以上も愛され続けている凄いお芋なんです」
 ドゥエル先⽣は50年近く川越市で暮らし、川越いもと地域の魅⼒を掘り下げ、発信してきました。同資料館館⻑の他にも、川越いもの保存運動に取り組む「川越いも友の会」会⻑や、川越市にキャンパスがある東京国際⼤学の名誉教授も兼任しています。
「私が川越に来た頃は、蔵造りの街並みはボロボロで、観光客はほとんどいませんでした。川越いもが特産品だという印象も弱く、サツマイモといえば戦時中に⽶の代⽤⾷だった、まずいイモのイメージでした。今の観光地としての賑わいや、お芋グルメの⼈気を⾒ていると意外かもしれませんね」と語るドゥエル先⽣。

ベーリ‧ドゥエル先⽣

 アメリカ・オレゴン州出身のドゥエル先生が、遠く離れた日本の川越いもと川越の町を長く愛するようになったきっかけは何だったのでしょうか。
「私の父は、第二次世界大戦の終戦後に仕事で日本に滞在していました。アメリカへ帰国後も日本の友人と交流があったようで、家に日本の人形などの小物を飾っていました。私は子供の頃からそれを眺めていて、日本ってどんな国だろう?と興味を持っていたんです」
 アメリカのウィラメット大学で日本語も学び、姉妹校である東京国際大学(旧国際商科大学)に短期留学するきっかけを得たのが23歳のとき。
「川越市内のホームステイ先で、娘さんがおやつを出してくれました。蒸しただけのシンプルなお芋がとっても甘いので驚きました。それが初めて食べた川越いもで、紅赤(べにあか)という貴重な伝統品種でした」
 川越いもと衝撃的な出会いを果たしたドゥエル先生は、その美味しさに夢中になったといいます。
「川越芋の美味しさとともに、そのお芋を出してくれた娘さんも好きになりました。もっと日本のことを知りたくなって、東京国際大学の講師の仕事に就きました。川越で暮らして、夜間に上智大学の大学院でお芋の研究をして、娘さんとめでたく結婚できました」
現在のさいたま市浦和区(旧木崎村)で山田いちさんに発見されたサツマイモ。上品な甘さで人気を博し、「サツマイモの女王」と呼ばれた。現在まで120年以上も栽培されている貴重な品種。

川越が誇る素晴らしいイモ文化を
伝えていきたい

ベーリ‧ドゥエル先⽣

 川越で働き、暮らし、地域に溶け込みながら研究を進めたドゥエル先生。調査を進めると、同じくサツマイモの文化史を研究してきた高校の井上浩先生や、市役所職員の山田英次さんなど、生産量が落ち込み、存在を忘れかけられていた川越いもの復権を目指す“同志”と巡り合います。
「川越いもの生産や歴史、伝統行事の再現、料理方法の開発など、有志で始めた勉強会が発展して『川越いも友の会』という市民活動が生まれました。なぜかお芋が大好きなアメリカ人の研究者がいることも注目を集めるきっかけになりました。芋掘り体験やお料理の講習会、楽しいイベントを企画して地域の内外に川越いもの魅力をPRしていくと、川越地域に訪れる観光客が増え、お芋を使ったお菓子や専門料理店ができました」

川越いも

 川越の市民活動による芋文化の復興は全国から注目され、海外との文化交流やシンポジウム開催へと発展。さらに1991年「サントリー地域文化賞」を始め、「川越いも友の会」が複数の文化賞を受賞するなど、大きな評価に繋がりました。「川越にイモ・ルネッサンス(文化復興)が起こったんですよ」というドゥエル先生の言葉通り、川越いもの力で地域全体の魅力が再発見されたのです。
「まだまだ川越には知られていない魅力があります。今は昔ほど忙しくしているわけではありませんが、川越いもの伝統品種『紅赤』の生産量を増やす研究や、美味しいサツマイモ商品開発に取り組む中小企業など、大勢の働きかけも取り組んでいます。街は常に進化して姿を変えていくし、人も若い世代に交代していくもの。また川越いもが忘れられてしまわないように、次の時代を担う小さな子供達に、もっと興味を持ってもらえるよう働きかけたいですね」
いきいきと瞳を輝かせながら語るドゥエル先生は、現在74歳。川越いもの研究はまだまだ続きます。川越でお芋スイーツを頬張るとき、お芋愛を語り継いできたドゥエル先生たちの姿を想うと、一層甘く感じられるかもしれません。

川越いもの魅力や情報を発信する拠点
サツマイモまんが資料館&
川越いも学校

サツマイモまんが資料館川越いも学校

事前ネット予約制。川越いもの歴史や文化について、イラストや漫画で解説するパネル展示を専門家の説明を受けながら見学できる。同資料館内でテーマ別にミニ講義を実施する「川越いも学校」も受講できる。

  • 川越市元町1-15-5 紋蔵庵 蔵の街店 2F
  • 10:00~16:00 完全予約制
  • 不定休
  • 見学無料
    川越いも学校のミニ講座受講は有料
    (要事前ネット予約、1名500円、定員10名まで)
  • 西武新宿線「本川越駅」から徒歩約16分

まだまだあります! オススメの芋グルメをご紹介

川越芋バター
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川越芋バター

川越芋本来の甘みを引き出したペーストと北海道産無塩バターをミックス。隠し味に白ワインやコーヒーを加え、絶妙な甘さと濃厚なコクを味わえます。トースト・パンケーキ・クラッカー・アイスクリームに、もちろん芋バターそのままでも召し上がれ!
3個セットで2,916円

まるごとやきいもアイス(セット)
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まるごとやきいもアイス(セット)

さつまいも農家のこだわりアイスクリーム。収穫してから熟成させ、じっくりと石焼き芋にすることで、凝縮した甘さ・香ばしさを引き出しています。フレーバーは糖度が高い人気品種の「紅はるか」、濃い紫色の希少品種の「ふくむらさき」。
各4個入りの合計8個で3,450円

ちょこたび埼玉オンラインストアでチェック!▶︎
ポテくまくんポテト5個入
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ポテくまくんポテト5個入

焼き芋ペーストに生クリームと白あんを加えた焼き菓子。しっとり柔らかな食感が特徴の甘いスイートポテトです。秩父市イメージキャラクター「ポテくまくん」が可愛いパッケージで、お土産にもピッタリ。
5個入りで1,200円

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WEBマガジンでは、埼玉の絶品!お芋スイーツを紹介しています。詳細はこちらをチェック!

心躍るアクティビティ

芋好きさん要必見

第2回コエド芋パーク
 2024.2.10〜12

今年2月に1万人以上の来場を記録した川越の冬の新たなイベント「コエド芋パーク」。早くも第2回の開催が決定しました。詳細はSNSをチェック!

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第2回コエド芋パーク

サツマイモまんが資料館&
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観光スポットを巡ろう