埼玉県の女子高生たちを主人公にした漫画「埼玉の女子高生ってどう思いますか?」は、
県民お馴染みの名所から地元のマイナースポットまで登場する、埼玉の魅力が詰まった作品です。
そこで今回は、作者の渡邉ポポ先生の思い出のエピソードと共に、舞台として描かれている4箇所のスポットをご紹介。
これからのお出かけシーズン、漫画を参考に聖地巡礼をしてみてはいかがですか?
渡邉ポポ。埼玉県在住。2013年『クラフトガール』(アルファポリス)で商業デビュー。代表作に『ふらら一人でできませんっ』(漫画アクション/双葉社)、『埼玉の女子高生ってどう思いますか?』(新潮社/コミックバンチ)、『小倉アンのおいしい生活』(リイド社/トーチweb)などがある。
『埼玉の女子高生ってどう思いますか?』全5巻
埼玉県は行田市、自分に自信が持てない白鳥小鳩となにかとポジティブな姫宮アグリ、
そして東京から転校してきた東上みなとの女子高生トリオがおくる、ご当地ネタ満載の青春コメディ!
「埼玉の魅力とは?」
「埼玉県にはこれといった名所がありません。周辺の県を考えてみても一つ二つくらいは観光名所を思い浮かべることができますが、埼玉はないです。おまけに海もないです。これはつらい。埼玉はそういうちょっと残念な性質をもった県です。しかし、「秩父」「長瀞」「古墳」・・・ まあ、あるにはある。そんなに胸を張って言えないけれど。そして東京にも近いし、ほどほど都会で良い!一応、関東!埼玉県民には、そんな「卑屈さ」と「小さい優越感」、この二つを同時に持ち続けることが課されています。その絶妙なバランスを保ちながら愚痴を吐いたり、池袋に行って遊んだり、そしてやっぱり羨んだり。そんな翻弄される埼玉県民が私は好きです」
「埼玉の女子高生の印象は?」
「具体的になにか強い印象を持っているということはないのですが、作中でも描いた「イモさ」(垢抜けないという意味)はキャラたちの基本だと思います。作中でも、埼玉県在住の「白鳥小鳩」と「姫宮アグリ」、この二人は完全に「イモいキャラ」です。東京都から転校してきた「東上みなと」も徐々にイモくなっていきます。そんな「イモさ」に満ちた「女子高生」たちを描ければと意識しました」
行田市に本店を構える老舗菓子店。名物の「十万石まんじゅう」は、国産のつくね芋と米粉を使ったもっちりとした皮と、北海道十勝産の小豆で作るこし餡の上品な味わいが印象的な逸品です。パッケージに描かれた絵と文字は世界的な板画家 棟方志功先生によるもの。まんじゅうを食べて「うまい、うますぎる」と絵筆を取ったとのエピソードから、かの有名なキャッチコピーが生まれました。建物は築100年を超す江戸様式の蔵づくりで、国の登録有形文化財に登録されています。
土蔵を利用した本店の外観が美しく、連載前から必ず描こうと決めていました。一番有名なお菓子は『十万石まんじゅう』なのですが、実は(といっては失礼ですが)美味しいお菓子がいっぱいあります。『幸たま』『彩の国ぽてと』など多数のお菓子を作中でも描かせていただきました。Twitterで「漫画を参考にして十万石本店で買ってきました!」というコメントもあって、とても嬉しかったです。
※現在「幸たま」は販売休止中です
https://sakitama-muse.spec.ed.jp/
埼玉県名発祥の地、行田市大字埼玉(さきたま)にあり、5世紀後半から7世紀頃までに作られた9基の大型古墳が群集しています。約40haの古墳公園内には「県立さきたま史跡の博物館」「はにわの館」があり、公園のすぐ近くには作中にも登場する「前玉神社」も。桜のスポットとしても有名で、3月下旬から4月上旬までの時期が最も見頃を迎えます。日本最大級の円墳とされている登れる古墳「丸墓山古墳」からは、園内の桜を見渡すことができます。
※写真提供 埼玉県立さきたま史跡の博物館
小学校の遠足で、初めて『埼玉古墳群』に行きました。広大な敷地と、古墳というなんとも怪しげな物体に、子供ながらに心惹かれた記憶があります。それからも、友達とのドライブで何気なくその近くまで行ったりもしました。今考えると、なんとも言えない魅力を小学生のとき以来持ち続けていたのでしょう。行田を舞台にしたのはこの古墳の存在が一番大きいかもしれません。
http://www.chichibuji.gr.jp/spot/spot-syousai10/
秩父のシンボル武甲山の麓、羊山公園内にある「芝桜の丘」。芝桜の植栽面積は関東でも有数 の規模を誇り、植栽面積は約17,600㎡、10品種40万株以上の芝桜が植栽されています。開花 時期の4月中旬から5月初旬頃は多くの観光客で賑わいます。4月上旬から中旬にかけては羊山公 園の桜も見頃です。
※写真提供 秩父観光協会
秩父一番の名所ですね。作中ではキャラたちがオリエンテーションで見学します。実は、作画において苦労したところがあり、『芝桜の丘』の話を描こうと決めてから取材に行ったのですが、その時すでに6月。芝桜の写真を撮ることができませんでした。普段は撮影した写真を参考に作画をするのですが、芝桜の写真が全く撮れなかったので、資料写真を頂いたり購入したりして背景の作画をしました。結果的には2巻の表紙にもなりました。
https://www.city.chichibu.lg.jp/1853.html
羊山公園の北側に位置する「見晴しの丘」。西側からは秩父市街地が一望できます。天気が良ければ遠くに連なる両神山や奥秩父の山々を望めることも。桜の名所としても知られており、開花時期は4月上旬から中旬頃。遠くに広がる壮大な秩父の山々と満開の桜の競演はまさに絶景です。
『見晴しの丘』からの眺めは圧巻です!秩父は盆地になっているので、街が山に囲まれていますが、まるで秩父全体を見渡すような大パノラマを見ることができます。望める景色は、もちろん秩父全体ではなく一部にすぎないのですが、山に囲まれた秩父の“いいところ”も、あるいはそういう土地だからこその大変さも見せてくれます。